研究実施計画に従い課題の研究を進めた結果、各項目に対し次のような諸成果が得られ、構造物の逆問題解析に新しい進展をもたらしたものと考える。 1.手法の基礎付け これまで分布定数系の逆解析法として提案してきたカルマンフィルター境界要素法において、特に信号・通信・システム制御の分野で多用されているカルマンフィルタ理論の検討を行った。フィルタリングの過程で推定誤差共分散行列の低下がKaLmanゲインに大きな影響をおよぼすことがわかり、その改良を考慮することによって推定に対する反復回数の減少がもたらせる。この改良を取入れた新しいフィルタの構築を行った。 2.手法の適用性 提案手法を静弾性場の弾性定数同定問題に適用し、有限要素法を用いた手法との比較を通し、推定値の精度、反復回数において有効性を確かめることができた。 構造物に内在する欠陥形状同定問題に対しては、円形および楕円形状欠陥同定問題を解析し、それらを同定するための最適観測点配置および最適荷重点配置に関するアダプティプな手法を導入する必要性を明らかにした。
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