研究概要 |
鉄骨鉄筋コンクリート鋼板耐震壁の抵抗と靱性発揮機構を、定性的定量的に詳細に解明することを目的として、本科学研究費補助金により一連の基礎実験研究を行った。 鋼板耐震壁が、鋼板の座屈波発生後形成される斜張力場によって、きわめて大きな靱性を発揮すること、また鉄筋コンクリート耐震壁がコンクリートの斜圧縮応力場によってきわめて大きな初期剛性と耐力を発揮することは既に筆者によって解明されてきた。本研究は、この両者を組合わせることによって、所要剛性と所要耐力並に所要靱性を確保しようとするものである。本年度は本補助金により、載荷用平行移動装置を製作し、予定通り鋼板耐震壁の壁体形状と抵抗機構の関係に関する研究として、階高一定の単層単スパンのスパン長さが(1:1;1:1.5;1:1.8;1:2;1:3)と変化したとき形成される斜張力場の変化と、これに伴う抵抗、変形性状の変化を定性的、定量的に検討し、その有効巾が階高、スパンの1/3で構成されることを解明した。さらに鋼板厚さが(0.4;0.6;0.8;1,0;1,2mm)と変化したときの変形、抵抗性状もまた上記有効巾で構成されることを確認した。次いで、鋼板の上に鉄筋コンクリート壁を打設することにより、鉄筋コンクリート壁の圧縮応力場による初期剛性と耐力の発現機構を単層単スパン長(1:1;1:1.5;1:1.8;1:2;1:3)の変化のもとに確認、これらもまた上記有効巾で算定できることを確認した。
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