本研究は、代表的な夏季蒸暑地域の九州・沖縄におけるパッシブクーリング手法の中で、特に「日射遮蔽の工夫」や「通風・排熱の促進」の効果の定量的な把握を行うことである。 本年度は、これまでの基礎的な研究経過等を踏まえて、下記のパッシブクリーング手法に着目して、種々の実験やシミュレーションによる解析を行い、温熱環境改善効果の定量的な把握や評価を試みた。 【.encircled1.】「屋上盛土+植栽」…約1.5m^2の屋根スラブ試験体を作成し、盛土と芝生を施して、日射遮熱効果に関する長期実測を実施している。得られた結果から、各種熱常数の把握を行い、シミュレーションプログラムを作成し、実測結果との比較・検討を行った。夏期晴天日においては、盛土と芝生による日射熱緩和効果で、通常のスラブ+断熱材の場合より天井裏気温の改善効果が著しいことが判った。 【.encircled2.】「外付けブラインド」…太陽自動追尾式の外付けブラインド用の日射遮蔽試験装置を作成した。この装置を利用して各種外付けブラインドの日射遮蔽効果の定量化を行った。その結果、内付けブラインドの日射遮蔽係数は約0.6程度であるのに対し、外付けブラインドでは0.2以下の結果が得られ、約3倍程度の日射遮蔽効果があることが判った。 「クールチユーブ」…熊本大学地域共同研究センター敷地内に建設してある実験家屋を用いて、クールチユーブやクールパイプを利用した地中冷熱利用の効果に関して、温度指標の一つであるPMVによる比較・検討を行った。
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