土地利用誘導の観点から見るとき、親水公園は、従来の公園・緑地に比べて、次の3点においてより大きな潜在的可能性を有していると考えられる。 (1)親水公園の多くは、従来は環境阻害要因になっていた市街地内の小河川を再生整備したものであり、その整備によって周辺市街地ではある種の裏表の逆転現象が起こっている。 (2)親水公園の多くは、既存河川を整備したものであるため線状の形態を有しており、点的ないし面的施設に比して周辺環境に対する影響がより広範である。 (3)親水公園の多くは、水との直接のふれ合いをテーマにしており、地域住民による積極的な利用を促進するポテンシャルを有している。 本研究では、前記のような問題意識に基づき、次のような手順で調査・分析を進めた。 1.予備的作業として「親水」概念の発展を跡づけ、東京23区における親水公園の整備状況とその特色を調査した。 2.東京23区内の代表的な親水公園5事例を取り上げ、夏季における利用状況と利用者の意識・評価を調査し、親水公園の一般的な利用特性を明らかにした。 3.江戸川区の小松川境川親水公園を対象に、夏季と通年の利用状況を調査し、親水公園の利用特性をより詳細に分析した。 4.小松川境川親水公園を対象に、沿線の土地利用の変化、および沿線住民の意識・評価とコミュニティ活動を調査し、親水公園が周辺環境に及ぼす影響を分析した。 以上のような調査・分析によって、親水公園の利用特性と周辺環境に与える影響の概要を明らかにすることができた。
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