本研究は、1980年代後半のリゾートマンションブームにより引き起こされたリゾートマンション開発の地域への影響を明らかにすることを目的としたものである。そのため(1)行政、(2)地域経済、(3)住民生活の3点からリゾートマンション開発を分析した (1)については、マンション開発の行政課題を明らかにすると共に、リゾートマンション集中立地市町村の一つである新潟県湯沢町における行政課題を詳細に調査した。またリゾートマンション開発が地方財政へどの程度の影響を与えているかについても検討した。湯沢町の場合、固定資産税や町民税において大きな寄与があったことを明らかにした。また一時的に増加するものと長期的に増加する歳入があることを明らかにした歳出については微税費や負担金の増加がある一方、長期的な歳出増が予測されるところに特徴がある。 (2)については、人口や所得等のいくつかの指標で検討した。過疎化する地域が多い中で、リゾートマンション集中立地市町村では人口増加を示すところが見られた。これは定住人口の増加というより、リゾート開発による観光客の増加があり、それが雇用につながっているためと理解される。湯沢町などでは3次産業分類の伸びが目立つと共に、1人当りの年内小売業販売額や飲食店販売額は新潟県内の町村では1位となっている。個別的には飲食店などが増加している。 (3)について、リゾートマンション開発に対する住民意見を、特に湯沢町を中心に調査をした。風景が壊された、乱雑な町並みが作られたとする住民が多い。開発に対しては否定的な人が多いが、存在がやむをえないとする人が5割を超えている。ただし住民の反応は、地区により大きく異なっている。いずれにしろリゾートマンション開発の影響を以下の3点から定量的、定性的に明らかに出来たと考える。
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