平成5年度に行ったサンフランシスコ市都市計画制度の調査結果をふまえて、平成6年度は、空中権を活用する制度について、特に「容積移転制度」を活用した誘導的な景観保全制度としてサンフランシスコ市のTDR制度を取り上げ、目的と内容、認可条件、認可プロセス等について調査を行った。これに対し、対応できる可能性を持つ日本の制度として「特定街区制度」と「地区計画制度の容積適正配分制度」を取り上げ、制度的な比較を行った。この際、日米の不動産に対する社会的概念の違いを視点として導入し、適用を制限するような限定的な前提条件の一因となっていることを示した。 さらに、「容積ボーナス制度」を活用した誘導的な景観保全制度について、サンフランシスコ市のインセンティブ・ゾーニング制度を取り上げ、目的と内容、認可条件、認可プロセス等について調査を行った。なおこの制度は現在では廃止され、リンケージ制度へと移り変わっているため、これについても同様に調査した。一方、日本の対応可能な制度としては「総合設計制度」を取り上げ、制度的な比較を行った。比較の視点として認可条件や認可プロセスを取り上げ、サンフランシスコ市の場合は容積ボーナスが廃止された背景についても示した。さらに日本の総合設計制度の実際の運用事例として、大阪市における公開空地について調査報告を行い、実際の都市環境への対応度を利用者の視点から評価を行った。
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