研究課題/領域番号 |
05650591
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
山田 水城 法政大学, 工学部, 教授 (40061030)
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研究分担者 |
宮武 直樹 法政大学, 工学部, 講師 (40130752)
中澤 治重 法政大学, 工学部, 助手 (30120827)
古川 修文 法政大学, 工学部, 助手 (10120833)
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キーワード | ダム建設 / 集落の集団移転 / 集落の滅失と再生 / 間取りの変化 / 住環境の改善 / 下郷町沼尾集落 / 外部空間構成 / 木材腐朽検査 |
研究概要 |
平成7年度に行った実測調査及び研究は以下のとおりである。 (1)新集落の発展の経過を追跡調査して、経年変化の様子を記録し、分析した。 (2)地形の変化によって、新集落の気象、住環境が受ける影響を明らかにした。 (3)サートレーサによる木材の非破壊腐朽計測法を追求した。 (4)19年前にダム建設によって集団移転した下郷町沼尾集落を調査し、室谷の事例と比較分析した。 得られた結果:(1)室谷・鍵取集落は移転して2年経過した。人々の評価は新集落・家屋に満足している。沼尾も現在の生活に満足している。それは両集落とも現代的設備による利便性の向上が最大の理由である。山深い集落にその利便性をもたらした最大の要因は車社会が到来したことに帰着する。室谷の場合は集落の道の構成や敷地の形態、敷地内の舗装、母屋の前の車庫兼倉庫、高床式の床下車庫など多くの構成に「車」が大きな影響を与えている。19年前に移転した沼尾集落の構成には車の影響がみられない。 (2)新住居には実生活に必要な多目的空間(かつての土間など)が無いため、人々はサンルームや漬物小屋など必要に応じて様々な物を付加している。移転前後で人々の意識は変わった点が多い。例えば移転前は池を作りたいという希望が全体の92%あったが、移転後はそれほど池の再生に固執していない。池を再生した家では、従来の融雪を目的としたものよりも鯉や鱒の養殖を目的とした形に変わっている。 (3)沼尾の場合、ダムの地域的気象に及ぼす影響は悪くはなく、むしろ建設前に比べて夏季の最高気温は低く、冬季の最低気温は高くなっている。水の気化作用と保温作用が有効に働いていると思われる。 (4)木材の腐朽計測に関しては10cm角柱の内部空隙を検知できるまでに至り、学会に発表した。
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