Nd_XFe_4B_4はNdとFeの二つの異なったサブシステムが互いに入り込んでできており、コンポジット結晶といわれている。これらの構造の周期についてはいくつかの報告があるが、組成を変えた系統的な研究はなされていない。そこでNd-Fe-Bコンポジット結晶の生成範囲および周期についてNdおよびBの濃度を変えて調べた。試料はアーク炉で作製したあと1000℃で一週間熱処理を行った。作製した試料のX線粉末回折図形を調べ、反射線による不純物の同定および不純物の量を調べた。あらわれた不純物はNdB_4およびFe_2Bだけであった。この結果および不純物からの反射線強度からコンポジット結晶のあらわれる領域としてはNd1.2Fe4B4付近であろうと考えられる。1:4:4の化学量論組成からずれている事は、この結晶がコンポジット結晶である事を示している。次にNd濃度、B濃度の変化に対してNdサブシステム、Feサブシステムの基本周期からの反射線のあらわれる位置について調べてみた。Feのサブシステムからの反射線の位置はNd、B濃度の変化に対してほとんど変化がみられない。一方、Ndサブシステムからの反射線の位置はB濃度の変化に対しては変化はないが、Nd濃度の変化に対してはNdが増えるほど高角側にずれる。つまり、Ndサブシステムの基本周期はNdが増えるほど長くなる傾向にある。また、これまでの研究よりFeサブシステムとNdサブシステムの基本周期の差によってコンポジット結晶としての構造の周期がほぼ決まる事がわかっており、この点を考えあわせると、コンポジット結晶の構造の周期はおもにNdの濃度によって決まり、Ndが増えるほど構造の周期は長くなる傾向にある事がわかった。
|