研究課題/領域番号 |
05650628
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 吉伸 東京大学, 工学部, 助手 (30198254)
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研究分担者 |
岸本 昭 東京大学, 工学部, 講師 (30211874)
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キーワード | セッコウ / ポルトランドセメント / 機械強度 / 絶縁強度 / ワイブル統計 / 破壊試験 / 電気抵抗 / アルカリ骨材反応 |
研究概要 |
セメント系材料における機械強度と絶縁破壊強度のワイブルプロットの比較により、材料の強度および信頼性(ワイブル係数)を絶縁破壊強度の試験より予測が可能か否かを検討した。石膏硬化体(CaSO_4・2H_2O)を用いて両強度の分布の統計を比較を行った。石膏硬化体は均質系のセメント材料であり水和も短時間で終了する性質があるが、硬化体の材令に関係なく両強度のワイブルプロットはよい一致を示した。破断面のSEM観察により、機械破壊の起点となると考えられる100μm以上の大きなポアが存在する場合は電界がその部分に集中し、絶縁破壊を引き起こすことが明らかとなり、機械破壊・絶縁破壊の起点が完全に一致することが示された。不均質系かつ水和の進行が徐々におこるポルトランドセメント硬化体の場合は、絶縁破壊の機構が熱的である点が石膏の場合と異なる。ポルトランドセメントでは材令34日までは絶縁破壊強度のワイブルプロットがよい直線性を示すのに対し、機械強度のワイブルプロットに大きな折れ曲がりが認められる。水和の進行に伴い両強度のプロットの隔たりが大きくなる傾向が見られる。実験は現在も継続中であり、水和の進行がさらに進んだときの絶縁破壊強度のワイブルプロットの変化が期待される 一方、材令の比較的若いコンクリートのアルカリ骨材反応による破壊を電気物性の測定による予知が可能かについても、絶縁破壊試験とは別の観点で検討を行っている。NaClを混入させたポルトランドセメントをアルカリ骨材反応が起こることが予想されるパイレックスガラス骨材との混練によりモルタルを作製し、その電気抵抗(交流1kHz)とアルカリ骨材反応の進行度の相関を調べた結果、アルカリ骨材反応が顕微鏡的に認められる材令以降において、非反応性骨材を用いたモルタルに比べ電気抵抗の上昇が認められており、アルカリ骨材反応の事前予知法としての電気抵抗測定の正当性が確認された。
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