研究概要 |
二硫化タンタルのインターカレーション化合物M_XTaS_2においては、これまでx=1/4,1/3,1/2の定化合物しか報告がなされていなかった。そこで、本研究では、これまで報告のなかったマンガンおよびニッケルインターカレーション化合物の単相領域を明らかにし、あわせてインターカレーション化合物の物性研究を行うことを目的とした。 前年度において決定した単相領域には再現性が認められたことから、単相領域を(M_XTaS_2)、マンガンの場合0.20≦x≦0.50、ニッケルの場合0.11≦x≦0.40と決定した。 マンガンインターカレーション化合物においても、ニッケルの場合と同様に、x=1/4の組成の試料の電子線回折パターンに2a_0×2a_0、x=1/3において√3a_0×√3a_0の超格子スポットが観測された。このことから、格子定数のa軸の組成依存性において観測されたx=1/4および1/3での挙動が、van der Waals gap中でのMnのオーダリングにより引き起こされたことが結論づけられる。 磁化率の測定では、ニッケルおよびマンガン化合物ともCurie-Weissの法則の従う常磁性体的挙動が観測された。ニッケルの場合は、有効ボ-ア磁子からx=1/3で2価、それ以外の組成範囲では2価と3価の共存状態であると結論づけられた。また、Weiss定数θから全ての組成で磁気的相互作用が反強磁性でるあることがわかった。マンガンの場合、θが組成の増加とともに減少し、x=0.50で負となり、相互作用が強磁性的から反強磁性的に変化したが、これは、Mn-Mnの距離が短くなることに起因すると思われる。また、得られた有効ボ-ア磁子の値と、これまでの定比組成で得られた文献値とを比較することにより、全組成でMnは2価の状態で存在していることが結論された。また、この結果はESRの結果とも整合する。
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