本研究に使用したプレカーサーセラミック繊維は有機ケイ素ポリマーのポリカルボシランを溶融紡糸、熱酸化不融化、窒素ガス中焼成により製造された炭化ケイ素系長繊維である。この繊維は企業から提供された2種類の繊維で組成はそれぞれSiC_<1.3>O_<0.3>およびSiTi_<0.02>C_<1.33>O_<0.44>である。これらの繊維の高温における熱分解および酸化挙動を、本年度科学研究費補助金(一般研究(C))の設備備品費で購入した超高温炉を用いて調べた。実験に際して、この超高温炉と自動天秤からなる熱天秤を用いて1573-1773Kの高温における質量変化量をアルゴンおよび酸素ガス気流中で自動測定して実験を行った。それらの結果を以下に示す。 (1)SiC_<1.3>O_<0.3>およびSiTi_<0.02>C_<1.33>O_<0.44>繊維をアルゴン気流中、1573、1673、1773Kの温度で保持時間に対する質量の変化量を自動測定して、その結果の速度論的考察を行った。高温熱分解反応はSiOとCOガス発生をともない、その律速段階はSiCの核成形および核成長段階であることが明らかになった。 (2)上記の繊維を酸素ガス気流中、1573、1673、1773Kの温度で保持時間に対する質量の変化量を自動測定して、その結果から酸化挙動を考察した。これらの繊維の酸化速度は放物線則に従い、酸化皮膜の細孔内のガス拡散により支配される。そして酸化皮膜は繊維の熱分解を抑制することを明らかにした。さらに酸化皮膜の厚さと熱分解挙動の関係を調べ、厚さの薄い方が熱分解をより抑制することを明らかにした。 (3)上記の測定後の試料を用いて引張強度とヤング率が測定された。その結果、それらの力学的特性は熱分解に伴うSiCの核形成とともに低下する。しかし酸化皮膜で被覆された場合では、酸化皮膜を除去した繊維の引張強度とヤング率の顕著な低下は観測されなった。 プレカーサーセラミック繊維の高温における熱分解および酸化挙動を調べた結果、熱分解挙動および酸化皮膜の熱分解抑制効果が明らかになり、以上の結果はこの種の繊維の高温特性改善に非常に有効である。 40および50℃における実験結果得た。これによると、CO_2の臨界圧より3MPaほど高い10MPaまでは通常通り圧力が増加すると減少し、温度が高い50℃の方が大きな値となる。しかし、10MPaより高い圧力では予想に反し拡散係数の値は圧力が大きくなると増加し、25MPa付近で飽和に達するようである。しかも温度差による影響は見られない。その原因については明確でないが、混合物の臨界点における相互拡散係数は0になることが理論的に知られており、それから考えるとこの異常性も理解できる。なお、30℃での実験も行ったが、誤差関係の対称性が失われたので拡散係数の値を得ることが出来なかった。これは、臨界点にあまり近く揺らぎが大きいためであろう。
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