研究概要 |
本研究では、以下の研究成果が得られた。したがって、本研究課題の当初の目的が達成された。 1.粒子表面からのグラフト重合の開始基となるアゾ基の導入は、粒子表面をトリレンジイソシアナートで処理することにより導入したイソシアナート基4,4'-アゾビス(4-シアノバレリン酸)との反応により行った。 2.アゾ基を導入したシリカの存在下で、スチレン(St)とアクリル酸クロリド(AC)との共重合を行うと、粒子表面へペンダントにアシルクロリド基を持つポリマー、すなわち、poly(St-co-AC)が効率よくグラフトすることを見い出した。また、グラフト鎖のアシルクロリド基はACの仕込み組成を変えることにより制御できることもわかった。 3.poly(St-co-AC)をグラフトしたシリカに水酸基末端のポリジメチルシロキサンやアミノ基末端のポリエチレンイミンを反応させると、グラフト鎖のペンダントアシルクロリド基とポリジメチルシロキサンの末端人酸基やポリエチレンイミンのアミノ基と容易に反応し、枝の分子量と化学構造が明確な枝分かれポリマーがグラフトしたシリカが合成できることが分かった。なお、このような系では、シリカ表面へのポリマーの総グラフト率が100%を超えるものも得られた。 4.このような枝分かれ高分子をグラフトしたシリカは、様々な有機溶媒中やポリマーマトリックス中へ容易に、しかも安定に分散する性質を持つことが明らかとなった。さらに、シリカ表面の1次グラフト鎖や枝ポリマーの分子量を調節することにより、シリカ表面の濡れ性を任意に制御できることも見い出した。
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