複合粒子を利用したSiC-BNナノコンポジットの作製、さらにTiB_2粒子またはSiCウィスカ-との複合化を行い、多相系炭化ケイ素セラミックスの構造と特性に関して次の知見を得た。 1.気相反応法による複合微粒子の合成とナノコンポジットの作製 Si(CH_3)_4-BCl_3-NH_3-H_2系の高温気相反応により、SiC-BN複合微粒子(粒径<0.1μm)を合成した。複合微粒子のホットプレスにより、SiCマトリックス中に0.5μm以下の微粒なBNが分散したナノコンポジットが得られた。この複合材料は耐熱衝撃性は高いが、破壊靭性が低下した。 2.SiC-BNナノコンポジットへの第三相の添加効果 SiC-BN複合微粉体にTiB_2粒子(2μm)またはSiCウィスカ-(径1.2μm、長さ40μm)を混合してホットプレスすることにより、多相複合材料を得た。この複合材料は破壊靭性が高く、耐熱衝撃性は若干低下するもののSiC単相に比べると高かった。 3.流動層CVD法による複合粒子の合成と複合材料の作製 流動層法により、SiC粒子(0.3μm)の上にBCl_3-NH_3-H_2系気相からBNを析出させて複合粒子を合成した。その焼結により得たSiC-BN複合材料でも耐熱衝撃性の向上が認められた。この方法ではSiC-TiB_2-BN複合粒子も合成でき、TiB_2による靭性向上も可能である。 以上の通り、複合粒子を用いた複合体の多相化と構造制御により、耐熱衝撃性と破壊靭性に優れた材料が作製できることを明らかにした。
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