本研究は、レーザーによる新しい薄膜作製方法の開発を目的としている。この方法は、真空中で冷却した基板上に有機金属化合物を吸着させ、エキシマレーザー光を照射し、それによる光分解反応を利用して金属の薄膜を析出させるというものである。 エキシマレーザーとしては、波長308nmのXeClレーザーと波長248nmのKrFレーザーを用いた。原料物質としてはCu(HFA)_2を用い、ガラス基板上およびシリコン基板上に吸着させて実験を行った。 1)本研究の薄膜作製法により、いずれの条件においても、金属銅あるいは酸化銅の薄膜が得られた。銅の存在はEDS分析により確認を行った。 2)ガラス基板上に試料を凝結させ、XeClレーザーを照射した場合、得られた膜のモルフォロジーは粒状となった。エネルギー密度3000J/m^2のとき粒は小さく粗に存在したが、エネルギー密度の増加とともに粒は成長し密になった。 3)シリコン基板上に試料を凝結させ、XeClレーザーを照射したとき、膜のモルフォロジーは柱状となった。この柱状構造は、エネルギー密度の増加とともに成長した。 4)ガラス基板上に試料を凝結させ、KrFレーザーを照射したとき、膜のモルフォロジーは粒状となった。エネルギー密度3000J/m^2のとき粒は粗に存在したが、エネルギー密度の増加とともに密になった。
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