研究概要 |
本研究は、有機金属化合物を冷却した基板上に凝結させ、エキシマーレーザー光を照射し、それによる光分解反応を利用して金属の薄膜を析出させるという、新しい薄膜作成法の開発を目的とし、とくに以下のことを目標に研究を行った。 1.薄膜を作成するための条件を検討し、本方法を確立する。 2.形成された薄膜の物性と形成反応とを調べ、その特徴を明らかにする。 照射レーザーにはXeClおよびKrFレーザーを用いた。本研究の成果を要約すると以下のようになる。 1.Cu(DPM)_2,Cu(HFA)_2を原料に用いて、液体窒素で冷却したガラス基板上に薄膜の堆積を試みた結果、粒径の揃った鱗粉状の構造の薄膜を得た。 2.ニケロセンを原料物質に用いた場合、Niからなる比較的均一な厚さの薄膜が得られた。不純物としてはCは少なくOが比較的多かった。成膜速度はレーザーの条件によって変化するが、1Å/s程度の早い成膜速度を得ることが出来た。 3.ペンタカルボニル鉄を原料物質に用いた場合、Feおよび鉄酸化物からなる比較的均一な厚さの薄膜が得られた。不純物としてはCは少なかった。成膜速度はレーザーの条件、特に波長によって変化するが、3Å/s程度の早い成膜速度を得ることが出来た。 このように、本研究を通じて低温基板上の原料物質をレーザー光分解することにより薄膜を堆積させる、という新しい薄膜堆積法(Low-Temperature Photo Chemical Deposition,LTPCD)を確立し、その有効性を示すことが出来た。
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