我々は互いに非相溶な2種類の高分子から成るブロック共重合体が平衡状態において形成する十〜数百ナノメートル・オーダーの規則的な微視的相分離構造(ミクロ相分離構造)に、球状、シリンダー状およびラメラ状構造の他に、相分離した二相が共に三次元連続相を成す共連続構造が存在することを既に発見した。このような優れた機械的強度を示し、分離膜、固体電解質などの各種機能膜・機能材料や触媒の担体として幅広い応用が期待される構造を意図的に作り出す基礎的知見を明らかにすることを目的とし、平成5年度の研究を行なった。共連続構造の作製にはブロック共重合体とホモポリマーとのブレンドあるいはブロック共重合体とブロック共重合体のブレンドが有効であると考えられるが、成分高分子の分子量比に依存するブレンドの相溶領域の限界を明らかにすることがまず第一のステップであった。平成5年度はブロック共重合体とブロック共重合体のブレンドの相溶性に関する研究を行ない、相溶限界の分子量比および組成依存性を明らかにした。またその過程において新しい共連続構造を発見した。さらに、ブロック共重合体とホモポリマーとのブレンド系における共連続構造形成に必要な基礎を得るため、ミクロドメイン中におけるホモポリマー鎖の分布およびブロック鎖とホモポリマー鎖との濡れ合いの程度を調べるため同一の試料について小角中性子散乱および小角X線散乱測定を行ない重要な知見を得た。平成6年度はこれらの新しい知見をもとに種々の共連続構造の作製とその構造解析を行なう予定である。
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