本年度は、パルス圧力付加インジェクション法による形成単分散粒子形成に最も大きな要素となっている印加電圧パルス波の波形パラメータを変化させ、形成された粉末の平均粒径および粒径分布におよぼす影響を調べ、これらにより単分散粒子作製の最適条件について検討した。また、オリフィス径と平均粒子径の関係を調べ、オリフィス径とほぼ等しい粒径の球形単分散粒子作製の可能性を検討した。Pb-Sn半田合金を546Kに加熱、200mmおよび100mmのオリフィスから1〜100Hzの周波数で噴射する実験を行った。その結果、200mmオリフィスを用いた実験では、ダイアフラム変位に無関係に粒径約200mmの粒子が得られた。粒径分布幅は、噴射が可能になるダイアフラム変位(噴射臨界変位)付近で極めて小さくなり、標準偏差の値は平均粒径の数%である。Ar雰囲気中に噴射することで、ほぼ完全な球形粒子を得ることができる。以上から、圧電アクチュエータ駆動による金属溶湯のオリフィスからの噴射による球形単分散金属粒子の作製は十分に可能であることが実証された。立ち上がり波形は、直線タイプが最も良く、正弦波および放物線タイプについては粒子形成が不安定であることがわかった。さらに、試料室内の圧力変化は粒子形成の安定性を低下させることが明らかになり、半田の自重をも考慮して試料室内の圧力を一定に保つことが重要である。形成された単分散粒子はきれいな球形をしており、表面はなめらかでしかも非常に清浄であることがわかった。 本研究で得られた成果は新しい斬新な単分散粒子形成プロセスを示したことであり、その球形度、清浄度から付加価値の高い粉末の作製に貢献するものと期待される。
|