LFB(Line Focus Beam)超音波顕微鏡が、局所領域で高精度に音速測定できる利点を生かし、従来の測定領域をさらに狭域化するため、一部解析方法を改良して、微量試料、あるいは不均一試料の局所的特性分布にまで適用できる、弾性定数測定法の開発を試みた。 まず、測定系として、カップラント(純水)の影響で表面反射信号の周波数等が変化するかどうか等、音速の測定精度に影響を与える因子を、波形解析により詳細にモニターできるシステムを構成し、音速測定の信頼性を向上した。次に、測定方法・解析方法を改良することで、現在のLFB超音波顕微鏡の測定領域(600×1000μm程度)をさらに狭域化(100×1000μm)した。 この評価法を用いて測定した音速から評価した弾性定数の、測定精度を検討するため、複合材と同一の成分の大形試料を複合材とは別に作製し、超音波測定後試料を3点曲げし、負荷時のひずみをひずみゲージでモニターし、求めた弾性定数と超音波音速から求めた弾性定数を比較した。その結果、両者は良く一致し、超音波顕微鏡を用いた弾性定数測定法は、従来の実験力学的測定と同様の精度を持つことが分かった。本測定法を、ステンレス鋼/ジルコニア系の粉体成形複合材料の弾性定数の局所的分布の測定に適用した結果、従来測定できなかった局所領域での弾性定数分布の挙動が測定できることが分かった。
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