本研究は、ガストンネル型プラズマ溶射を、傾斜機能ジルコニアコーティングの作製に適用し、その基本的特徴を明らかにする研究を行っている。本年度に得られた結果は、以下のとおりである。 1.前年度に引き続き、ガストンネル型プラズマジェットを用いて、ジルコニア粉末のプラズマ溶射を行い、プラズマ入力P=20〜30kW、溶射距離L20〜50mmにおいて、傾斜機能ジルコニアコーティングが得られた。 2.典型的な傾斜機能ジルコニアコーティングとして、P=26kW、L=40mmでは表面硬度Hv=1130が得られている。この場合、コーティング厚さは160μmであるが、基材近くではHv=600〜700となり通常の溶射皮膜と同様のビッカース硬度の値となる。 3.ガストンネル型プラズマ溶射法により得られたジルコニアコーティングの断面深さ方向の摩耗特性についてより詳しく調べ、このジルコニアコーティングの摩耗量の傾斜機能性を、硬度特性と関連づけて明らかにした。 4.ガストンネル型プラズマ溶射によるジルコニアコーティングの作製プロセスを検討し、溶射中のコーティング表面温度を考慮し、コンピューターを用いた数値計算による皮膜形成過程を解明し、コーティングの断面深さ方向の傾斜機能性を理論的に説明した。 以上のように、ジルコニアコーティングの傾斜機能性について、その断面組織、及び硬度、耐摩耗性から明らかにしたが、今後、より効果的な傾斜機能ジルコニアコーティングの作製について、また新しい機能性コーティングへの応用についての研究を展開する予定である。
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