研究概要 |
Fe-TiおよびNi-Ti混合粉末を窒素雰囲気中でMA処理することにより、Fe-TiNおよびNi-TiNナノ結晶複合粉末を作製した。これらの粉末を火薬衝撃銃を用いて衝撃固化成形を行なった。これらバルク試料の密度、結晶粒径、硬度を測定した。その結果を以下に示す。 (1)Fe_<50>Ti_<50>,Ni_<100-x>Ti_x(X=10,30,50at.%)の混合粉末を窒素雰囲気中でMA処理することにより、結晶粒径が5nm程度のFe-63vo1.%TiN,Ni-17vo1.%TiN,Ni-37vo1.%TiN,およびNi-58vo1.%TiNナノ結晶複合粉末を作製することができた。これらナノ結晶複合粉末を約850Kにまで加熱した条件下で約40GPaの衝撃加圧することにより固化成形を行ない、最高密度が97%、平均結晶粒径が5nmから8nmのバルク材を作製できた。 (2)上記で作製したFe-TiNおよびNi-TiN衝撃固化材を用いて、ナノ結晶材の結晶粒径の変化に伴う硬度変化を測定した。Fe-63vo1.%TiN材では結晶粒径が約14nmでHv>1400DPNにまで急激に硬化し、その後軟化する傾向を示した。また、Ni-TiN材ではいずれも結晶粒径が10-15nm付近までは結晶粒の微細化にともないHall-Petchの関係に従い直線的に硬化し、その硬化の傾きは粗大粒組織の純Ni材から求めたデータの外挿値と良く一致していた。さらに微細化すると逆に軟化する傾向を示した。 (3)Fe-63vo1.%TiNおよびNi-58vol.%TiNナノ結晶材料を用いて、高温ビッカース硬度を測定した。結晶粒径が60nm付近まで微細化するといずれの試料も約650k付近できな軟化が観察され、この軟化温度は結晶粒径の微細化と伴に約500Kまで低下した。結晶数の超微粒化により比較的低温でも粒界すべりが生ずると考えられる。また、高温ビッカース硬度をダイヤモンド圧子への負荷時間を種々に変化させて測定すると、両材料ともに負荷時間の増大とともに硬度の低下が認められ、その後一定値に飽和する傾向を示し、その飽和値は温度の上昇とともに低下する。このような硬度の負荷時間依存性は変形に必要な臨界応力の存在を意味していると考えられる。
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