研究概要 |
本研究は,わずかな添加量で粉砕性が飛躍的に向上する,いわゆる粉砕助剤をエネルギー的に極めて非効率である乾式超微粉砕プロセスに積極的に利用しようとするものである。すなわち,本研究では粉砕助剤としての効果が比較的大きい種々のアルコール類を用いて乾式超微粉砕を行い,より多くのデータの蓄積を図ると共に,多変量解析法等により粉砕性と粉砕助剤の物性との関係を検討し,粉砕助剤設計のための指針を得ようとするものである。 粉砕実験は,前年度と同様,振動ミル,窒化ケイ素製のミルおよび粉砕媒体を,粉砕助剤にはメタノールやエタノールなど炭素鎖長の異なる5種類のアルコールを主に使用し,粉砕試料は長石に代わって石英,石灰石およびアルミナを用いた。以下に本年度得られた主な結果を示す。 1)アルコール類はいずれの試料対しても助剤効果を示すが,その効果の程度は助剤の種類およびその添加量によって大きく異なる。2)助剤を添加した場合でも,長時間の粉砕によって比表面積が低下する逆粉砕現象が現れる。3)助剤の種類およびその添加量によって異なる最大比表面積値が存在し,その最大比表面積値は添加量の増加と共に大きくなる。すなわち,助剤としての最適量は砕料の微細化に伴って増加する。4)長石および石英に対しては1-ブタノール,石灰石に対してはメタノールが比較的良好な助剤効果を示すのに対して,アルミナはいずれのアルコールについても助剤効果は同程度であった。5)粉砕産物の安息角は比表面積の増加と共に減少し,助剤添加によって砕料の流動性が良好になる。6)多変量解析によって,アルコール助剤の物性の中で,双極子モーメントと分子容との比,蒸気圧および表面張力との間にある程度相関が認められることがわかった。
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