ZnS、CdSなどの微粒子は半導体の特性を持つ螢光体であり、例えばAgをドープしたZnS微粒子は発光色が青色の硫化亜鉛螢光体で、ブラウン管の画像表示などに利用されているほか、さまざまの分野でこれらの微粒子の応用が期待されている。本年度は、昨年度の研究で開発された静電噴霧法を用いて、以下のように研究を進めた。 (1)静電噴霧装置を用いて、電圧、流量などの操作条件を種々に変えて、CdS、ZnS、CdSおよびZnSの複合体の微粒子を製造し、得られた粒子のサイズおよび形状を電子顕微鏡で、結晶相の同定をX線回析法で調べたところ、粒子のサイズが0.1μm以下の超微粒子であることがわかった。この結果より、静電噴霧法で生成される液滴のサイズは、1μm以下であることがわかった。 (2)CdSおよびZnSの超微粒子の螢光特性のサイズ依存性、およびCdSおよびZnSの複合体の微粒子の螢光特性の組成依存性を測定した。 (3)ZnS粒子について、噴霧溶液濃度を数点変えて静電噴霧法と超音波噴霧法を用いて微粒子を製造し、粒子形状および粒径について検討したところ、平均径は静電噴霧法の方が、超音波噴霧法の場合の約1/5となっており、静電噴霧法は従来の噴霧法では発生できない微小液滴を発生させることが明らかとなった。今後、さらに操作条件を変えることにより、さらに小さな微粒子の製造が期待できる。
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