研究概要 |
ZnS,CdSのような金属硫化物の半導体微粒子は、蛍光物質、液晶の材料、CO_2ガスなどの光還元触媒用の機能性材料として非常に注目されている。本研究では静電気を利用した静電噴霧熱分解法によるZnSおよびCdSの微粒子の製造を試みた、以下のような結果を得た。 1)内径が0.1〜1mmのノズルに亜鉛もしくはカドミニウムの硝酸塩およびチオウレアのプリカーサーを含む液をシリンジポンプにより一定流量で送り込み、ノズルに10kV程度の直流電圧をかけ、噴霧液を静電噴霧させる装置を製作した。 2)噴霧した液滴の個数濃度および粒径の分布を凝縮核計数器およびモビリティーアナライザー法を用いて測定したところ、溶液の粘度が高いほど、テイラーコーンが形成されるのに高い電圧が必要となることが明らとなった。 3)静電噴霧装置を用いて、電圧、流量などの操作条件を種々に変えて、CdS、ZnS、CdSおよびZnSの複合体の微粒子を製造し、得られた粒子のサイズおよび形状を電子顕微鏡で調べたところ、粒子のサイズが0.1μm以下の超微粒子であることがわかった。この結果より、静電噴霧法で生成される液滴のサイズは、1μm以下であることがわかった。 4)CdSおよびZnSの超微粒子の螢光特性のサイズ依存性、およびCdSおよびZnSの複合体の微粒子の螢光特性の組成依存性を測定した。 5)ZnS粒子について、噴霧溶液濃度を数点変えて静電噴霧法と超音波噴霧法を用いて微粒子を製造し、粒子形状および粒径について検討したところ、平均径は静電噴霧法の方が、超音波噴霧法の場合の約1/5となっており、静電噴霧法は従来の噴霧法では発生できない微小液滴を発生させることが明らかとなった。
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