研究概要 |
1.昨年度までの固体架橋の実験結果に加えて理論的検討を行い整理した結果,固体架橋付着力は架橋を形成している結晶の体積と粒子半径の積のほぼ1/2乗に比例すること,また,固体架橋中に微量の水分を含む塩類(NaCl,KClなど)ではこの水分が雰囲気の湿度の影響を受けて湿度が低いほど固体架橋付着力が強くなることがわかった。 2.液体の加速流れ場における凝集粒子の分散については,昨年度までの研究で粒子に働く分散力を理論的に求め,その分散力と粒子間付着力の比によって等径球からなる凝集粒子の分散状態が評価できることを示したが,本年度は異なる大きさのPSL(ポリスチレンラテックス)粒子で構成された凝集粒子を用いて同理論に対する追試実験を行った。その結果,さらに定量的に同理論の裏付けを行うことができた。 3.凝集粒子懸濁液のpHと電解質濃度を変えることによって粒子の表面電位と電気二重層厚みを制御したPSL凝集粒子懸濁液を調製し,これを加速流れ場に通して分散させた結果,表面電位と電解質濃度が高くなるほどいったん凝集した粒子は分散しやすくなることがわかり,液相中の凝集粒子の分散の制御に利用できる有用な結果を得ることができた。 4.液体のせん断流れ場内における凝集粒子の分散について,代表的な凝集形態として等径2連球を考え,この粒子に作用する機械的な分離力を理論的に求めた。また,PSL凝集粒子を回転二重円筒内のせん断流れによって分散させた結果,理論的に求められた分離力が粒子間付着力を上回る条件下では凝集粒子の分散が進行し,それと反対の条件下ではせん断流れによる粒子同士の凝集が進行することが見い出された。
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