共晶系有機物質であるベンゼン-シクロヘキサン混合融液を原料に、半回分晶析装置を用いて懸濁結晶系におけるベンゼンの晶析実験を行った。晶析過程における結晶の粒径分布、および各粒径区分の純度を経時的に実測した。個数基準の粒径分布の推移を見ると、一次核発生後、所定の時間ごとに小粒径側に新たなピークを生じており、これらは二次核発生によるものと考えた。粒径と純度の関係を各時間ごとに、整理すると、その傾きは時間的に振動しており、その傾きが増加する時間は、小粒径側にピークを生じる時間とほぼ一致した。このことから装置内で発生した二次核が、粗大結晶に付着し、これにより母液の取り込みが増加し、結果として傾きが増加したものと考察した。また二次核の付着により増大した傾きは、次の核発生が起こるまでは、減少する傾向を示し、このことを母液の排除過程と関連づけて考察した。 さらに、p-キシレン-シクロヘキサン系において、回分晶析実験を試み、晶析過程における個数基準の粒径分布および各粒径区分の純度を経過時間ごとに実測したところ、発生核が付着・合体しながら成長し、結晶合体面に母液が包含されることを示した。この母液は、成長過程において、排除される場合と、されない場合があり、このことを合体部分の修復現象と関連づけて考察し、高純度の結晶を得るための最適晶析条件について検討した。
|