1.静電成膜法でアルミナの分離膜(比対称膜)の作成と細孔径分布の制御 膜素材である超微粒子の生成にはAlBr_3/O_2ガス系を用い、CVD法で生成した。膜の孔径制御は生成超微粒子の粒径制御、および静電沈着粒子層形成用の粒子泳動電界強度、沈着層形成時間によって制御できることがわかった。今回は、フィルターの最小孔径として0.04mumのものが得られたが、さらに微細な孔径の分離膜が得られると期待された。0.04mumの孔径のフィルターの気体透過圧力損失は、市販のセラミック分離膜(孔径:10〜20mum)のそれとほぼ同じであり、低圧力損失を保ちながら高性能の集塵が可能である膜であると期待される。 2.静電成膜法で作成された分離膜の集塵性能試験 ディーゼルエンジンに模したバーナーから排出される都市ガスの燃焼ガスを用いて集塵性能試験を行った結果、スートは100%分離できることが確認された。集塵試験は高温(400℃)でも行ったが、常温下と同様の性能を得ることが出来た。膜の構造が3次元編目構造なのでスートの堆積層の払い落とし(逆圧法)は極めて容易である。 3.SPCP反応によるスートの低温燃焼試験 沿面コロナ放電により得られる低温プラズマを励起源にしたSPCP(Surface discharge-induced Plasma Chemical Process)反応により分離膜上に捕集されたスートは常温でも空気雰囲気下で容易に酸化され、CO_2になることが確認された。その際、同時に、NOxが低減することも確認された。その反応機構は今のところ不明であるが、沿面プラズマを励起源とした窒素酸化物の高次への酸化、およびCOの介在による還元の、両機構が複合しているようであるが、詳細は今後の検討課題である。
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