研究課題/領域番号 |
05650777
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
三浦 弘 埼玉大学, 工学部, 助教授 (60092574)
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研究分担者 |
松田 常雄 埼玉大学, 工学部, 教授 (40008826)
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キーワード | 昇華性金属錯体 / バイメタリック触媒 / 選択的水素化反応 / クロトンアルデヒド / クロチルアルコール / ジルコニウムジピバロイルメタナト |
研究概要 |
昇華性金属錯体を前駆体に用いた独自の方法でCo系バイメタリック触媒を調製し、クロトンアルデヒドの部分水素化によるクロチルアルコール合成反応に高い活性・選択性を示す触媒を開発した。Co/Al_2O_3触媒へ、昇華性金属錯体であるZr(dpm)_4をすることにより、触媒の活性およびクロチルアルコール選択率は大幅に向上した。同じZrを中心金属にもつ昇華性錯体でも、昇華性の違いにより触媒活性に差が生じる。より昇華性の高いZr(dpm)_4を使用することにより高い活性を示す触媒を調製することができた。この触媒を用いて中間生成物からの反応を行うことにより、Zrの添加でC=C水素化が大幅に抑制され、C=O水素化は促進されることがわかった。さらに、C=CよりC=Oの方が優先的に水素化されることもわかった。この反応系には競争反応が存在し、水素化の優先順序はクロトンアルデヒド>ブチルアルデヒド>クロチルアルコールとなる。これによりクロトンアルデヒドの水素化において優先的にクロチルアルコールが生成したものと思われる。さらに、Zrの添加により反応速度が増加することがわかった。触媒と原料の接触時間を変化させることにより転化率99.4%、クロチルアルコール収率81.9%という結果が得られ、短時間で効率よくクロチルアルコールを得ることができた。この結果からクロトンアルデヒドの選択的水素化における最適反応条件を設定することが出来た。またXPS測定により触媒上のCoは金属、ZrはZr^<4+>とさらに低価数の複合状態で存在していることがわかった。この低価数状態のZrの存在により表面の電子状態に変化が生じ、水素のプロトン・ヒドリド型解離が促進され、C=Oへの選択性向上につながったものと考えられる。比較のため行ったZrO_2での水素化反応ではZrO_2はまったく触媒活性を示さなかった。これより、この触媒における活性向上は一部還元されたZrの存在が大きく影響していると思われる。
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