水素製造のための低温での水蒸気改質反応に用いるジルコニア担持ロジウムまたはルテニウム触媒の開発に資するために、アルコキシドを出発原料とするゾル-ゲル法によってジルコニアとジルコニアーイットリア系担体の高表面積化を目的として、表面積制御についての研究を行なった結果、以下のことが明らかになった。 (1)加水分解のときの水の量を増やすとBET比表面積が増加し、表面積の増加は結晶化温度の増加、結晶子径の減少、および粒子径や細孔径の減少と対応する。 (2)ZrO_2へのY_2O_3添加量を増やすにつれて表面積は増加する。 (3)空気雰囲気での焼成と比較して、窒素雰囲気での焼成は高表面積化をもたらす。 (4)ZrO_2とZrO_2-Y_2O_3の結晶相が異なるにもかかわらず、表面積とZrO_2の格子歪みの間に相関が認められる。 (5)表面積の増加には非晶質に近いZr-O結晶またはZr-O結合が緩んだ結晶相の存在が寄与していることが考えられる。 以上、ゾル-ゲル法を用いてZrO_2とZrO_2-Y_2O_3を調製した結果、原料モル比とイットリウムの添加量を選択することによって表面積の制御が可能であり、条件によって従来にない高表面積をもつZrO_2-Y_2O_3が得られることが明らかとなった。 今後の研究によって、この方法で得られた高表面積をもつZrO_2系担体に担持したRhやRu触媒が水素製造のための水蒸気改質反応にすぐれた性能を発揮することが期待される。
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