セラミックス粉末スラリーに細菌(大腸菌、黄色ブドウ球菌)を懸濁させ、懸濁液中の細菌増殖状況をBactometer model 168(VITEK現有)で経時的に測定し、セラミックス粉末スラリーの細菌への効果が殺菌的、静菌的あるいは促進的なものであるかを測定した。これまで30種のセラミックス粉末について調査した結果、殺菌効果を示すもの(9種)、静菌効果(増殖が抑制される)を示すもの(2種)、細菌の活性を増加あるいは増殖促進効果を示すもの(4種)などがあることが明らかとなった。 例えば、黄色ブドウ球菌を含んだMgO粉末スラリーはMgO粉末量が5.32mg-powder/mι-slurryになると細菌増殖抑制が著しく大きくなり、このサンプルをBHI-Brothで増殖培養した結果、殺菌的であることがわかった。またZnO粉末による大腸菌の実験結果から粉末量が100mg-powder/mι-slurry以上になると増殖抑制は著しく増大し、BHI-Brothで培養した結果、静菌的であることがわかった。 大腸菌及び黄色ブドウ球菌のセラミックスによる損傷部位の特定のために作用機構(Penicillin G(PCG):細胞壁合成阻害、Chloramphenicol(CP):タンパク質合成阻害、Nalidixic acid(NA):DNA合成阻害、Rifampicin(RFP):RNAポリメラーゼ阻害)の異なる阻害剤を使用して調査したところ、CP、RFPの効果が現われていることがわかったが、その詳細については更に研究することが必要である。
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