研究課題/領域番号 |
05650804
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松下 琢 九州大学, 工学部, 助手 (10209538)
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研究分担者 |
中野 祥生 九州大学, 工学部, 助手 (70237353)
梶原 稔尚 九州大学, 工学部, 助教授 (10194747)
船津 和守 九州大学, 工学部, 教授 (80037960)
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キーワード | 三次元流動シミュレーション / スーパーコンピュータ / 動物細胞培養 / 攪拌槽培養装置 / 剪断応力 / 細胞付着力 / 血栓溶解酵素 |
研究概要 |
1.シャーレ上に増殖させた付着性培養細胞に対して、無菌的に一定期間一定の剪断応力を負荷することができ、また同時に細胞の形態変化を光学顕微鏡で観察することができる剪断応力負荷装置を作製し、サル腎細胞(Vero)、ヒト肝細胞(PLC/PRF/5)、ヒト胎児腎細胞(293)の付着・形態・生存率・代謝・物質生産性に及ぼす剪断応力の影響について調べた結果、Vero及びPLC/PRF/5細胞は、0.1Paの35時間負荷で10%しか細胞剥離が起こらなかったのに対し、293細胞では60%の細胞が剥離した。つまり付着性培養細胞の付着力は細胞によって異なることが定量的に明らかとなった。また293細胞の血栓溶解酵素生産は0.05Pa以上の剪断応力で阻害されることが明らかとなった。 2.筆者らの研究室で独自に開発した三次元流動解析のプログラムを用いて、最も一般的な実験室スケールの攪拌槽(スピナーフラスコ)内での流動状態・最大剪断応力・応力分布などを、種々の攪拌速度条件下で、スーパーコンピュータ三次元流動シミュレーションによって求めることが可能となった。回転速度60rpmでの最大剪断応力は翼先端で発生し、その値は0.095Paであった。 3.上記の攪拌槽を用いて、実際に293細胞をマイクロキャリアーを付着担体とした培養実験をした結果、増殖の定常値に60rpmで急激な細胞の剥離が起こった。この結果と1の実験結果によって、2で得られた最大剪断応力に関するコンピュータシミュレーション結果が妥当であることが確認された。 4.さらに流動場の三次元流動シミュレーションの知見を用いた粒子追跡シミュレーションの定式化を行い、細胞が攪拌槽内でどのような応力履歴を持つかを推定することが可能となった。
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