研究概要 |
平成5年度に本研究者が開発したOkamoto cavityを用いて成功したマイクロ波誘導大気圧ヘリウムプラズマ(He-MIP)に、溶液試料を霧化して導入するとき、従来の同軸型のニュマティックネブライザーを用いると、効率が低く、さらにプラズマが不安定になることを明らかにした。 この対策として、新たに超音波を用いたネブライザーを自作し、この問題を解決した。これらのことから、He-MIPに溶液試料が導入できるようになり、マイクロ波電力1kWのとき、励起温度は5,500K(Feの原子線の発光強度のボルツマンプロットから算定)、電子密度は10^<14>/cm^3(Sahaの式をベースにFeの原子線とイオン線の発光強度比から算定)が得られた。これらの値は従来のアルゴンガスを用いた高周波誘導結合プラズマ(Ar-ICP)や窒素ガスを用いたマイクロ波誘導プラズマ(N_2-MIP)と比べ、同等以上であることが明らかになった。 しかしながら、ヘリウムガスの消費量が多く(25 l/min)、ライニングコストの低減のために、流量を減らす必要がある。この対策の一つとして、Okamoto cavityを調整して、ガスを適宜He⇔N_2切り換えられるようにした。 そして現在、流量の絶対量を低減することと、質量分析装置(MS)のHe-MIP-MSとしての調整を行っている。今後、He-MIP-MSの評価を行う予定である。
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