研究課題/領域番号 |
05650825
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹原 善一郎 京都大学, 工学部, 教授 (00025892)
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研究分担者 |
金村 聖志 京都大学, 工学部, 助手 (30169552)
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キーワード | プラズマ重合 / イオン変換膜 / 薄膜 / 質量分析 / ベンゼンスルホニリルフルオライド / ベンゼンスルホニルクロライド / グロー放電 / 分子イオン |
研究概要 |
同じ芳香族スルホニルハライドであるベンゼンスルホニルフルオライドおよびベンゼンスルホニルクロライドをプラズマ重合の出発物質として非平衡プラズマ中に導入し、プラズマ中に生成したカチオン種を直径約50μmの取り込み口から、ターボ分子ポンプを用いた差動排気によって四重極型質量分析管内に取り込み、"その場"質量分析で検出した。その結果、ベンゼンスルホニルフルオライドを出発物質として用いた場合にはプラズマ中でスルホニルフルオライド基の構造を保持した安定な分子イオンを生成するのに対して、ベンゼンスルホニルクロライドを用いた場合には分子中のS-Cl結合が解裂しスルホニルクロライド基の分解が起こりやすいことがわかった。また、印加電力を高めると分子イオンの分解が生じ、低質量数の化学種の割合が増加した。取り込み口近傍に設置した基板上に堆積した薄膜をFT-IR、ESCA等を用いて分析した結果、ベンゼンスルホニルフルオライドの場合にはスルホニルフルオライド基が高分子鎖中に固定されているのに対し、ベンゼンスルホニルクロライドの場合はスルホニルクロライド基は膜中に存在せず、スルホンなどに分解した形で膜中に固定されていることがわかった。また、ベンゼンスルホニルフルオライドを用いた場合でも、分子イオンが分解しやすくなる高印加電力条件下では、膜中に導入されるスルホニルフルオライド基も減少した。これらの結果からベンゼンスルホニルフルオライドの場合は、プラズマ重合反応が安定な分子イオンを中間体として進行するため、重合薄膜中にスルホニルフルオライド基が導入される。これに対して、ベンゼンスルホニルクロライドの場合には分子イオンが不安定で分解しやすいため、膜中にスルホニルクロライド基が導入されないと考えられた。
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