セレノカルボン酸アルキニルエステルとメタノール、エタノールなどのアルコールとの反応によりセレノンエステルを高収率で与えることをすでに見いだしている。この反応の一般合成法として確立のため種々検討を加えたところ、脂肪族アルコールとは比較的容易に反応するが芳香族アルコールとの反応からは相当するエステルの合成は現段階では不成功で、さらに条件等について検討中である。 脂肪族のチオールとの反応からは相当するセレノンチオールエステル(式1;E=S)が高収率で生成することを見い出し、新規の簡便なセレノンチオールエステルの合成法であることを明らかにした。この反応は系中でアルキンセレノールとの平衡にあると思われるセレノケテン中間体の反応である(式2)を経由して進行することを分子軌道法からの検討を加えている。 合成したセレノンチオールエステルはハロゲン化アルキル、アシルクロリド、アリールブロミドなどの求電子試薬に対してセレン原子への攻撃を受けること、アミンのような試薬に対してはセレノアシル化剤として働くことを見いだした。さらに、m-CPBA等による酸化反応等についても検討した。スペクトル等の物理的性状についても明らかにした。 この反応を用いてのテルル誘導体の合成についても検討中である。
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