研究概要 |
ランタノイドトリイソプロポキシドはエステル-アルコール間および異種間エステルの交換反応の触媒として有効で、その活性は、従来用いられているアルミニウム、スズ等のアルコキシドよりはるかに高い、金属種による活性は、La>Nd>Gd>Ybであり、塩基性の高いアルコキシド程高活性を示した。本反応で、1級、2級およびそれらのエステルは高い効率で交換できたが、3級アルコールおよびそのエステルの反応性は小さかった。本触媒の特長は、長鎖アルコールおよびエステルにも高い応用性を示す点である。本反応は、ε-カプロラクトンの開環重合にも応用で、高い分子量と非常に狭い分子量分布をもつポリマーを与えた。 ランタノイドイソプロポキシドはエステルとオルソギ酸エステルとの交換反応や、オルソギ酸メチルによるケトンやアルデヒドのアセタール化反応にも触媒活性を示した。しかし、後者の反応ではランタノイドスルホネートが、より有効であった。本触媒を用いると種々のカルボニル化合物から温和な条件で相当なアセタヘルが得られることが解った。 ランタノイドトリイソプロポキシドを触媒するα、β-不飽和アルデヒドとα水素をもつケトンのマイケル付加反応を検討したところ、アルドール縮合物を与えた。またα、β-不飽和ケトンとの反応では、マイケル付加の後アルドール縮合したロビンソン環化物を与えた。 本アルコキシドがアルドール反応に有効なことから、単純ケトンおよびアルデヒドへの応用を行った。その結果、5,6員環ケトンでは触媒的に脱水縮合物を与えた。一方アルデヒドはアルドール付加物を選択的に与えた。この反応は水を生成しないため、触媒的に反応を行うことができた。また溶媒をイソプロパノールとすると、付加物がメールワイン・ポンドルフ反応で還元され、1,3-ジオールが高収率で得られた。
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