研究概要 |
(1)含金属活性酸素種の発生法とケトンの酸化。 金属触媒として二酸化ルテニウムを用いてケトンのBaeyer-Villiger型反応を検討した。反応はケトン(1mmol),アルデヒド(3mmol)、溶媒として1,2-ジクロロエタン(3mL)、金属触媒を5mol%用いて、それらを酸素雰囲気下、室温で24時間反応させた。アルデヒドの種類としてベンズアルデヒド、m-クロロベンズアルデヒドで好結果を得た。また、アルデヒドの添加量は3当量使うと反応が完結し、ラクトンが収率95%で生成した。また、金属触媒の種類として、RuO_2の他にMnO_2,V_2O_5,CuOに触媒活性がみられた。 (2)酸素(O_2)を末端反応剤に用いるレドックス系酸化システムの構築。 TEMPOの共酸化剤として酸素を適用した含金属触媒複合系でのアルコールの酸化を検討した。その結果、TEMPO/ルテニウム錯体/分子状酸素で構成される複合系で、1級アルコールから2-(N,N-テトラメチレンアミニロキシ)アルカナ-ルが生成することを見出した。反応基質として1-ウンデカノールを用い、ルテニウム錯体としてRuCl_2(PPh_3)_3と、N-オキシル化合物として4-ベンゾイロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(4-BzOTEMPO)の存在下に、トルエン中、酸素雰囲気下で70-80℃に加熱して反応を行なった。反応の経時変化の調査からアルデヒドが一旦現れ、続いてα-オキシアルカナ-ル体が生成することがわかった。 適用例から、本反応は1級アルコールに有効であるが、カルビノールのα位やβ位に置換基が存在すると収率は低下した。また2級アルコールについては酸化によってケトンのみが生成し、TEMPOの付加体の生成は見られなかった。
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