研究概要 |
(1)含金属活性酸素種の発生法とケトンの酸化。 酸素-アルデヒド-金属触媒からなる複合酸素系でBaeyer-Villiger反応を検討した。反応は、触媒量の二酸化ルテニウムとアルデヒドの共存下に、ケトンを酸素雰囲気下でかきまぜた。芳香族アルデヒドを用いた場合、収率良く対応するラクトン体が生成した。反応を完結させるために3当量用いた。一方、溶媒効果が見られ、特に、1,2-ジクロロエタン中で反応が速やかに完結した。また、金属触媒としては二酸化マンガンでも同等の酸化活性がみられた。非対称ケトンの場合、位置選択性が見られた。過塩素酸リチウム等を添加すると著しく反応時間が短縮できた。 (2)酸素を反応剤に用いるアルコールのレドックス系酸化システムの構築。 ルテニウム錯体の介在する酸素からのTEMPOへの電子伝達系の構築を検討した。共酸化剤として酸素を使いルテニウム錯体とTEMPOを酸化剤として用いる複合系で、1級アルコールから相当するカルボン酸、または2-アミニロキシアルカナ-ルが生成した。1級アルコールをルテニウム錯体としてRuCl_2(PPh_3)_3(10mol%)とN-オキシル化合物として4-ベンゾイロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(10mol%)の存在下にトルエン中、酸素雰囲気下70-80℃に加熱した。アルデヒド体が6時間で最高収率に達し、さらに反応を続けるとウンデカン酸が生成した。N-オキシル化合物の添加量を増やすことによりカルボン酸の生成を抑制することができ、アルデヒドがN-オキシル化合物と反応して生成するα-オキシアルデヒド体が得られた。また2級アルコールからはケトン体が生成した。
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