研究概要 |
コバルトポルフィリン錯体を触媒とするオレフィンの還元的酸素付加反応を詳細に検討し、幾つかの天然有機化合物の全合成へ開発した反応を応用した。また、関連反応として還元的ニトロソ化反応も検討した。 1.共役オレフィンの位置選択的ヒドロキシル化反応およびヒドロペルオキシ化反応 触媒量のコバルトポルフィリン錯体存在下、共役ジエノン化合物を酸素とトリエチルシランと反応させた後、直ちに亜リン酸トリメチルを加えて還元すると、γ-ヒドロキシ-α,β-不飽和カルボニル化合物が、反応位置の異性体を副生成することなく得られた。また、アクリル酸誘導体からは相当するα-ヒドロキシ体が得られた。一方、還元的酸素付加反応後フラッシュクロマトグラフィーによる迅速分離を行うと、γ-ヒドロペルオキシ-α,β-不飽和カルボニル化合物が良い収率で得られることがわかった。 2.生理活性天然有機化合物合成への応用 2量体マクロリドである(-)-ピレノフォリンおよびショウガより得られる微量抗酸化成分6-ヒドロキシショウガオールとその関連化合物を還元的酸素付加反応をキ-ステップとして合成できた。 3.オレフィンの還元的ニトロソ化反応によるオキシムの合成 置換スチレンやα,β不飽和エステルをコバルトポルフィリン触媒存在下、亜硝酸エステルとトリエチルシランと反応させると、α位がオキシム化されることがわかった。オレフィンのオキシムへの新変換法となる可能性があり、収率や反応選択性の面で反応条件の改良を予定している。
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