研究概要 |
1.コロイド微粒子の表面高分子修飾法の検討 粒径0.5mumの単分散シリカコロイド粒子の表面修飾を次の三方法によって行い、以下のことが明らかになった。 (1)ポリマーシランカップリング剤と表面シラノールの反応は、微量のアンモニアの存在で促進された。ポリマーが粒子表面へ3-5wt%結合し、低極性溶媒中に分散する複合粒子が生成した。(2)2,2'-アゾビス(アミジノプロパン)二塩酸塩を開始剤として、粒子表面でのラジカル重合により均一にポリマーコーティングされた単分散複合粒子が得られた。(3)粒子表面へ吸着したポリ(N-ビニルピロリドン)へのラジカル重合によるポリマーグラフトによって、シリカ粒子だけではなく、TiO_2,Al(OH)_3,Fe_2O_3-CeO_2-SiO_2などの粒子もコーティングできた。 2.ポリマー修飾粒子表面への官能基導入 1)ラジカル重合による表面修飾において、チオールなどの連鎖移動剤の添加は-NH_2や-COOH基の生成をもたらしたが、それらの大部分がポリマー鎖内に埋没していた。(2)クロロメチルスチレンとスチレンの共重合によってコーティングした粒子表面の活性塩素をアミノ基に変換できたが、この方法では単分散ポリマー/SiO_2複合体調製時の至適条件の設定が困難であった。(3)ポリ(無水マレイン酸-スチレン)-トリメトキシシランによって表面修飾後、ジオールやジアミンでポリマー層を架橋し、それと同時に-COOHや-NH_2基を生起させる方法を開発した。 3.応用研究 (1)単分散シリカコロイド微粒子をポリエチレングリコールによる表面修飾、次いで牛血清アルブミンを固定化した複合体粒子がイムノラッテクスへ応用できることが示唆された。(2)ポリマー修飾シリカ粒子への活性基の導入し、次にそこを起点としてのオキサゾリンのカチオン重合によって、9-10量体のオリゴマーのグラフトが確認された。現在、金属イオンを配位させ高性能触媒の調製を行っている。 4.ポリマー修飾シリカ粒子の表面特性 (1)各種ポリマーによって修飾した複合体粒子表面のzeta-電位が制御できることが示唆され、今後ポリマーの一次構造とzeta-電位の関連性の解明を進める予定である。
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