研究課題/領域番号 |
05650927
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子構造物性(含繊維)
|
研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
三軒 齊 姫路工業大学, 工学部, 教授 (30047568)
|
研究分担者 |
深江 亮平 姫路短期大学, 助手 (90165241)
山本 統平 姫路工業大学, 工学部, 助教授 (50047627)
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1994
|
キーワード | ポリビニルアルコール / 立体規則性 / シンジオタクティシティー / 高破断強度 / 高引張弾性率 / 生物分解 / PVAゲル / 計算機シミュレーション |
研究概要 |
機能材料化を意図したPVAの高重合度化と高立体規則性化の一層の進展を期して、主として原料モノマーをピバル酸ビニル(VP)とする低温溶液光重合反応の溶媒および置換基効果の検討を重ねるとともに、生成ポリマー(PVP)の物性の向上に及ぼす重合度と立体規則性の効果について以下の研究成果を得た。 1)DMSO中、20℃の重合で、重合度30、000以上のPVPを89%の高収率で得た。また、重合系のモノマー濃度および溶媒の極性の低下に伴いPVPのシンジオタクティシティ(s)が増加することを見いだすとともに、n-オクタン中、-20℃の重合条件下で(s=68%)の極めて高いdiad tacticityをもつPVAを得た。 2)PVAの前駆体であるポリビニルエステル同族体の種々のビニルエステル置換基のスタッキング効果やクローン斥力効果ならびにペナルティメット効果がタクティシティーに及ぼす影響を解析するとともに、コアイソタクティックパラメータを求め、コタクティシティーの計算機シミュレーションに成功した。 3)PVA膜あるいは繊維の高次構造におよぼす立体規制性について、イソタクティシティー(i)に富むPVAが分子内水素結合力を強く表現するのと異なり、(s)含有%の高いPVAの側鎖水酸基による強固な分子間力は、極めて得意的であり、アモルファス領域における骨格分子鎖の主緩和、および結晶領域における局所緩和の活性化エネルギーがともに高く、膜あるいは繊維状分子鎖の延伸と配向を強く制約することを、力学的性質、動的粘弾性、膨潤特性の上で確認した。難延伸性の改善を意図したビーム焦点加熱ゾーン延伸法により、引張り強度(2.0GPa)、初期弾性率(80GPa)の繊維性能を恒常的に発現させることを可能にしたが、難延伸性の十分な解決とはならず、なお現在研究を継続している。 また、(s)が61.3%(diad)で、Pnが1650のPVAを溶解した水溶液から凍結融解サイクルで得たゲルは、低分子量であっても高弾性率(0.47MPa)をもち、優れたゲル素材としての有用性をもつことをも明らかにした。 4)上記研究過程で、PVAのタクティシティーと生物分解性の関係に着目し、活性汚泥から単離した菌体による高立体規則性PVAの生物分解を試み、基質に対する立体的な選択性が菌体にみられ、かつ(i)に富むPVAは易分解性で、一方、(s)に富むPVAが難分解性である興味ある結果を得た。現在、微生物学的な分解機構の解明を進め、タクティシティーとの関連を追求している。
|