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本研究では、界面物性が表裏両面で相違する単分子膜を基盤とする分子集合体の特徴を解明するとともに、例えばこの膜で特定蛋白質を内包した機能小胞体の実現を研究目的とする。
疎水長鎖(二本足)両端に分極率の異なる基を結合させた両親媒性分子では、集合体の粒径約100nmの単一分散系となる(光散乱測定から解明)。更に、電顕観測(モリブデン酸染色、樹脂包埋割断)にて単分子膜構造を確認でき、小胞体の総体積の測定値と小胞体系がすべて単分子膜構造と仮定した総体積の計算値の一致からこれを証明した。更に、小胞体の分散状態は極めて安定であり、蛍光偏光解消法による分子運動測定や小胞体の内包物漏出測定からもこの膜が高い安定度を持つことが明らかにされた。
NMRシフト試薬を用いた膜の表裏に分布するホスホコリン基の割合の測定から、表層に76%が分布、興味深いことはヘモグロビン(Hb)を小胞体に内包させた場合では95%以上となり、水相の環境相違が分子配向に影響していることも明示できた。
更に、オリゴ糖鎖を表面に導入した小胞体系では凍結融解や乾燥再分散操作に対しても粒径の変化やHb漏出が認められない安定系であることが明かとなった。また、小胞体内へHbを導入した系において酸素酸化したHbへ電子を供給するシステムの構築に成功、次年度は膜を介した電子移動によりこの制御を試みる計画としている。
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