1.数値計算法の開発 従来までに開発した計算プログラムを大幅に改良した。第一に、極めて細かい差分格子を火炎付近にだけ生成することのできる解適合多重レベル格子生成法を改良して、燃焼反応に重要なラジカル生成領域を細分化できるようにし、安定に解くことができるようになった。ラジカルの濃度勾配が極めて高い領域を正確に計算できるようになり、得られる火炎構造が実験との良い一致を確認できた。第二に反応速度方程式の積分法を改善して、安定な時間差分の判断法の開発、計算速度の向上、及び反応系の一般化を行なった。燃焼反応の積分は全体の計算時間の中で占める割合が大きいのでこの改善は大きな意味がある。第三に振動の発生し易い衝撃波など不連続面を含む流れ場でありながら、差分法を高精度化することに成功し、数値拡散を十分小さくすることができるようになった。火炎伝播は拡散と熱伝導に基本的に支配されるため、この改善によって、実験とよく対応した火炎伝播をシミュレートできるようになった。 本研究で衝撃波を含む高速燃焼流の直接数値シミュレーションを行なう準備が基本的にできた。この計算コードの正当性の確認のため実験と比較できる計算を行なっており、その一部は学会等で発表している。 本研究課題名に即したラム加速装置の流れ場の計算は、現在の計算コードでも一応可能ではあるが、境界条件の巌密さが不十分と考えられ現在改良中である。さらに複雑形状周りの流れが解けるように計画している。 2.図形ソフトの開発 本数値計算コードで用いている差分格子系は従来にないもので、これに適した図形出力用ソフトは完全に独自に開発する必要があった。本研究では状態量の等高線を極めて高速に描くソフトを開発できた。現在、カラー出力用に改良中である。
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