平成6年度においては、層流及び遷移領域のプロパン拡散火炎のみならず乱流領域の火炎について、その燃焼帯に適用したコロナ放電のすす発生抑制効果のデータを取得するとともに、それぞれの火炎についてコロナ放電のすす発生抑制機構を解明した。またコロナ放電がこれらの火炎のNOx発生に及ぼす影響についても検討した。 1.層流及び乱流拡散火炎に対するコロナ放電のすす抑制効果:プロパン層流拡散火炎に対し、それの6倍のプロパン流量の完全乱流領域にある拡散火炎の発生するすす量は約1/(20)である。層流拡散火炎、完全乱流領域にある拡散火炎何れの場合にも、火炎下部に数mAの直流コロナ放電の印加によりすす発生量を放電のない場合の数%に減少させることができた。火炎の長さ方向の中央部あるいは上部に放電を印加したときにもすす発生量をほぼ半減させることができた。 2.コロナ放電のすす発生抑制機構:コロナ放電がすす発生に影響を与える機構として、(1)横方向から火炎に吹きつけるコロナ風のaeration効果、(2)コロナ風また電界の効果による火炎形態の変化(火炎の乱れの発生・非軸対称化をもたらす)、(3)すす核の発生またその成長に対する放電の直接的効果、(4)発生したすすの再燃焼に対する放電の効果がある。層流拡散火炎の下部に放電を適用した場合にはすす発生抑制に対して(1)と(2)が、乱流拡散火炎の下部に放電を適用した場合には(3)が優越していること、何れの火炎もその中央部あるいは上部に放電を適用した場合には、(4)の機構が優越していることがわかった。 3.コロナ放電がNOx発生に及ぼす影響:層流及び乱流火炎とも、数W程度の放電ではNOx発生に及ぼす影響はほとんど認められなかった。さらに放電電力を増大した実験を継続中である。
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