2年度にわたって行った研究は、船舶の狭水路の自動航行システムに関するものであるが、実施した研究は、さらにその周辺技術にも及ぶ。以下にその概要をまとめる。 1.狭水路航行時の操縦運動数学モデルを水槽実験を実施して、検討した。 得られた結果は、従来から提案されている中高速時の操縦運動モデルであるMMGモデルを少し拡張することによって、低速時にも十分適用できること、そして、その提案するモデルは低速時用操縦運動モデルとして定着しつつある小瀬モデルとほぼ同等の表現能力があることがわかった。 2.さらに、低速時の操縦運動モデルの検証をするためには、自由航走試験を実施して先に得られた数学モデルを使ったシミュレーション結果との比較を行う必要がある。そのための自由航走試験を実施した。 3.低速時の自由航走試験においては船の運動の他、位置や横流れ速度などを精度よく計測する必要がある。その目的のため、ビデオカメラを用いた画像処理手法を新たに開発し旋回試験に適用して、手法の将来性を確認した。 4.自動航行システムとしては、引き続き、狭水路航行に向いたルールの改良、追加を行うとともに、狭水路航行シミュレーションとしても使えるような改良を加えた。 5.さらに、タグボ-トを用いた自動着桟システムの検討を昨年に引き続きニューラルネットワークを応用して行い、さらに現実的な着桟システムへと改良を加えた。 6.以上の成果をふまえて、総合的に狭水路の自動航行システムとしてシミュレーションプログラムを開発して行い、国内外の学会、シンポジウムで発表し、その有効性と将来性について各方面からの指示を得た。
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