研究概要 |
二重殻船体構造を有するVLCCの1タンクを対象として塑性設計法に基づいた最適設計を行った.1タンクの構造解析に対し有限要素を適用すると計算量が莫大となるため,ここではマトリックス伝達法とフレームストラクチャー法を組み合わせて3次元弾塑性解析を実現した.目的関数としては,1タンクの重量と製作費(材料費+溶接費)の2つを検討した. マトリックス伝達法により決定された設計案から二重底部・ビルジ部の板構造部を取り出して有限要素法により応力評価を行った.この有限要素解析結果を制約条件とした局部構造の最適設計を行った.有限要素法による解析は弾性に限定し,各要素の相当応力に許容範囲を与えることにより制約条件を課した.また,感度解析手法を導入することにより,最適設計過程における再解析の計算効率を大幅に向上させることができた.最適設計のための数値解析手法として乗数法を採用したため,SUMT法におけるような初期値制約を取り除くことができた. 実際の設計において,板厚は連続変数として扱うことができないめ,離散変数を考慮した最適設計に関する検討を行なった.これは,最適設計過程2段階に分割することにより実現した.第1段階においては,板厚を連続変数として最適を設計を行った.この結果を第2段階の初期条件として用い,更に板厚を第1段階の解近傍の離散数値に固定した.この2段階最適化手法の導入により,離散変数を簡便に取り扱うことができた. 上記手法の導入により大規模な船体構造の最適設計の効率化が計れた.いくつもの例題を解析した結果より,本研究により得られた最適設計案は,重量ならびコスト(材料費+溶接費)を減少させていることが分かった.
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