本年度は、主に2つについて研究を行った。 1)前年度に開発した「高速流体に接する薄板構造の動的な不安定解析のための数値解析コード」の妥当性および数値解析解の収束性を検討するとともに、各種パラメータがダイバージェンスやパネルフラッタといった動的不安定に与える影響について、検討を行った。つまり、次のことを検討し評価を行った。 a)流体構造連成振動解析結果の妥当性、b)解析コードを適用する際に必要な構造部の有限要素数と流体部の要素数の評価、c)質量比が動的不安定を起こす流体の限界流速に及ぼす影響、また、本研究において開発された数値解析コードは、新たに薄板の「様々な境界条件」および「様々な形状のパネル」に対して適用できるので、d)パネルの境界条件が限界流速に及ぼす影響、e)パネルの形状が限界流速に及ぼす影響などについて検討および評価を行った。 2)風洞を利用して平板の動的不安定の実験を行い、本年度備品費で購入した高精度の非接触式レーザ変位計と従来研究室で保有している2台の非接触レーザ変位計を用いて、平板の動的応答を計測してその結果を主に周波数応答スペクトルの形で評価し、流体、つまり実験においては空気の流速に対する固有振動数の変化を前項で述べた数値解析コードの計算結果と比較することにより、妥当性を調べることを目的として検討を行った。その結果、ある程度の計算と実験の相関は得られたものの、流体部の流速の一様性の問題、風洞の大きさと発生できる流速の大きさから、実験に用いる平板の大きさに対して相対的にかなり薄くなり、境界条件や初期不整の影響が大きく、再現性の乏しい結果となっており、今後、実験に関してはより精度の高い、できれば流体は水を利用した実験などの検討が必要であるという結論を得た。
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