研究概要 |
赤泥中の有用金属の無機酸浸出(塩酸、硝酸、硫酸)が研究され、更に経済的見地と浸出効果から主として硫酸浸出が検討された。赤泥中の有用金属の酸浸出は浸出時間・温度、試薬濃度が大きな要因になる。ソーダライトとして存在するNaは浸出条件によらず10分間で100%浸出される。温度と酸濃度の影響は相対的に低い。Caは浸出条件によらず1時間でその20%を浸出する。Alは浸出条件によらず、10分後に60%浸出するが、温度上昇時(60℃,80℃)には時間と共に除々に浸出率を増加する。これは赤泥中のAlを含むソーダライトの浸出に由るものである。Siの硫酸浸出は浸出条件に拘らず10分後に65%の浸出率を示す。これはSiを含むソーダライトの溶出による。酸濃度が大きい時(7.2mol/l)Siがコロイド粒子として沈澱する為、浸出率は下る。Feの浸出は温度の影響が極めて大きく、80℃で90%にも達する。酸濃度の影響は、塩酸浸出において特に著しい。Tiの硫酸浸出は、25,40,60℃では平衡状態に達するまで16時間もかかるが、80℃では4時間で平衡に達する。しかし、その浸出率は40%にしかすぎない。塩酸、硝酸は濃度の影響を殆ど示さない。Fe,Al,Ti,Caの酸浸出機構は界面反応モデルがあてはまり、その速度定数により各元素の浸出の難易度を定めることができる。Ti,Zrは1.8mol/l H_2SO_4、120℃で浸出したあと、その残渣中の品位はそれぞれ72%、6%に濃縮される。赤泥上澄み液から、SiO_2/Al_2O_3の比を増加させることにより、A-ゼオライト、X-ゼオライト、アナルサイムが生ずる。いずれの場合も少量のフィリップサイトが共存している。これらはSEMにより確かめられた。ゼオライトの結晶化には12〜15日が必要であり、日数がたつにつれてフィリップサイトの比が増加する。つくられたゼオライトを種として入れておくとゼオライトの結晶化は促進する。ゼオライト合成後の溶液中のAlとSiの濃度はSiO_2/Al_2O_3=3の時に最少になる。
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