筑豊炭田では炭鉱の閉山後、旧坑口、低地等から古洞水が湧出している。湧出付近を赤く染めることから赤水と呼ばれている。全炭鉱が閉山して数年後の昭和50年頃に炭田全域の古洞水の賦存状態、水質等について調査された。当時は古洞水は勿論のこと、河川の水質も良好とは云えない状態であった。約20年を経た現在、赤水がどの程度浄化されているか究明するものである。本年度は炭田の東帯すなわち中間市、直方市、田川市、添田町における赤水湧水地帯において水理地質調査、水質試験等を行った。坑口からの湧水は当時と変わらないが、田面や低地での湧水は圃場整備により暗渠排水が完備し田面の赤水は水路に誘導されている。また、鉱害復旧工事などで湧水が消滅しているところもある。赤水の水質は多様であるがPHは酸性、ECは1000muS/cm以上、Ca-SO_4型を示すものが多かったが今回の夏期の水質試験では水質の型は同様であるがECが小さく各化学成分とも小さく水質は良好になりつつあるものと判断される。河川水は自然浄化が進んでおり遠賀川河口から40Kmの(添田町法光寺橋)80muS/Cm、同30Km(田川市伊田新橋)160muS/Cm、同20Km(直方市直方大橋)280muS/Cm、同10Km(中間市遠賀橋)345muS/Cmであった。田川市付近で417muS/Cmが260muS/Cmに、245muS/Cmが160muS/Cmと約20年間の間に大きな変化が認められた。冬期の水質試験は実施中である。炭田西帯の赤水湧出については来年度行う予定である。
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