研究課題/領域番号 |
05660002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 雅志 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (40134043)
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研究分担者 |
西沢 武明 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教務技官 (60089802)
高橋 秀幸 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (70179513)
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キーワード | イネ / 冠根 / 根系 / 形態 / 屈性 / 遺伝変異 |
研究概要 |
今年度は、これまで調査してきた暗黒下における幼植物時期の伸長方向と水田土壌中における根系形態との関係、根の伸長方向を決定する生理要因、根の伸長方向の遺伝的背景の三点に関して、それらの解析を進めた。 これまでの研究で伸長方向に特徴的な差異を示した、9品種(下方向に冠根が伸長する日本水稲3品種、主に横方向に冠根が伸長するベンガルの在来イネ3品種、上方向にも冠根が伸長するインドネシアの在来イネ3品種)について水田土壌中の根系形態の観察を計画した。しかし、昨年夏の異常な低温によりインドネシア、ベンガル地方の生育が悪く、充分な観察ができなかった。その様な状態でも、10月に掘り起こして観察した結果、インドネシアのイネの冠根は地表から約3cmの土壌中に多く分布していた。一方、日本のイネは地表から約3cmの土壌中にはほとんど分布が見られなかった。 は種前の日本イネの種子を高温度(40度)高湿処理を2から4日間行うと、幼植物の冠根の伸長方向は処理の日数に伴って、下方向から次第に上方向に変わることが見いだされた。日本イネの伸長方向はGA,ABAなどの植物ホルモン処理によりメソコチルの伸長が促進された場合、冠根の伸長方向が上方向に変化することを報告している。しかし、今回はメソコチルが伸長しなくとも、冠根の伸長方向が上方向に変化したことは興味ある現象である。酸素屈性に関しては、用いるガラス器具を改良してより再現性のある結果を得ることができるようになった。しかし、ガラス器具内の寒天に酸素の勾配が存在していることの証明はできていない。 前にも述べた特徴的な冠根の伸長方向を示す3品種(日本水稲品種・ベンガルの在来イネ品種・インドネシアの在来イネ品種)を相互に交配した雑種後代第三世代、開花時期に突然変異誘発物質により処理した変異系統を育成したが、低温により十分に採種はできなかった。昨年度に採取した第二世代を用いて、暗黒下における幼植物の冠根の伸長方向に関して遺伝解析を現在進めている。
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