イネ栽培種およびイネ属野生種のミトコンドリアゲノムからみた類縁関係をミトコンドリアDNAのプローブを用いたサザンブロッテングにより解析した。全DNAをXbalで切断し、ジコキシゲニンでラベルした7種のプローブで検出した結果、イネ栽培種o.sativaではatpA、atp9およびcoxllでは多型は認められなかったが、coxl、atp6、cobおよびrrn18では多型が検出された。atp6を含むsall断片をプローブに用いた場合、日本型およびジャワ型に存在する3.7kbの断片はインド型およびO.glaberrimaには存在しなかった。同様にcoxlを含む断片をプローブにした場合、日本型およびジャワ型に存在する1.9kbの断片はインド型およびO.glaberrimaには認められなかった。さらにrrn18をプローブにした場合は、インド型およびO.glaberrimaに日本型やジャワ型と比較して0.7kbの欠失が認められた。以上のようにO.sativaのインド型品種はO.glaberrimaと類似し、また日本型とジャワ型品種は互いに類似していた。 次に、O.sativaおよびO.glaberrima以外のイネ属野生種8種も加えてその多型を分析したところ、O.rufipogonを含めてO.sativa複合体(AAゲノム)は類似のパターンを示し、一つのクラスターを形成した。2倍体O.punctata(BB)、4倍体O.punctata(BBCC)、O.eichingeri(CC)、O.officinalis(CC)およびO.latifolia(CCDD)はほとんど同一のパターンで、類縁性が極めて高いことを示した。BBCCゲノム内でもO.minutaはやや異なっていた。またO.alta(CCDD)およびO.australiensis(EE)はO.officinalis複合体の中でも異なっていた。イネ属植物の類縁関係については遺伝距離を求めUPGMA法によりは系統樹としてまとめた。
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