1.イネ栽培種ミトコンドリアDNAの制限酵素断片長多型 イネ栽培種、日本型(4)、インド型(4)、及びジャワ型(2)の合計10品種を用いてミトコンドリア遺伝子プローブとのサザンハイブリダイゼーションにより制限酵素断片長多型(RFLP)を解析した。その結果、8種のプローブのうちcoxI、atp6をプローブに用いた場合、生態種によって付加的な断片の出現や消失が認められ、制限酵素xbaIで切断し、rrn18をプローブに用いた場合、一部のインド型品種に0.7kbの欠失が認められた。ジャワ型品種は日本型品種と同一のパターンを示した。 2.イネ属ミトコンドリアDNAの類縁関係と進化 イネ栽培種2種及びイネ属野生種11種、合計23系統を用い、全DNAを制限酵素Hind IIIで切断後、同様の解析を行った。得られた制限酵素断片長パターンから、UPGMA法により系統間の遺伝距離を求め、クラスタリングを行い、系統樹を作成した。その結果、AAゲノムの0.sativa、0.glaberimma、0.breviligulata及び0.ruffipogonは一つのクラスターを形成したが、0.sativaのインド型品種は0.glaberimmaと近縁であるという結果が得られた。BBおよびBBCCゲノム種に関しては、大きく0.punctata(BBCC)と0.minuta(BBCC)のグループら分かれた。2倍体0.punctata(BB)は0.punctata(BBCC)型と0.minuta(BBCC)型に分かれた。このことから、4倍体の0.puntataと0.minutaは異なるミトコンドリアゲノムをもつ2倍体の0.punctataより別々に生じたということが推察された。CCゲノム種の0.officinalisと0.eichingeriは互いに類似し、またCCDDゲノム種の0.latifoliaと0.altaとも類縁性が高かった。0.australiensis(EE)と0.brachyanth(FF)はパターンが大きく異なり、ミトコンドリアゲノムからみて最も遠縁と判断された。
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